はじめてのカミングアウト 〜まさかの返し〜

「はじめてのカミングアウト」って、よくよく考えると何通りかあるけれど、
僕の場合、“友人へのゲイであることの初告白”は大学4年生の冬。卒業間近のことでした。
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居酒屋での不意打ち
その日、同級生のコウイチとタダシ、そして僕の3人は、僕のアパート近くの居酒屋で飲んでいました。
就職先も決まって、あとは卒業を待つばかり。
「もうすぐこいつらとも頻繁には会えなくなるのか…」なんて、少ししんみりした気分でビールを飲んでいたときです。
恋人の話になりました。
当時、僕には彼女はいません。
「なんで彼女作らないの?」とコウイチ。
いつもなら「いや〜いい人がいなくてさ」なんて軽く流すところが、その日はなぜか言葉が詰まる僕。
するとタダシが、ニヤニヤしながらこう言いました。
「ひょっとして、男が好きとか?」
…おいおい、そんなド直球ある?
しかも笑いながら言うなよ。
でもその瞬間、心の中で「そうなんだよな」と思うのとほぼ同時に、口が勝手に動きました。
「うん、そうなんだ。」

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きょとん顔と安心の一言
2人とも、一瞬ぽかん。
でもコウイチは「あ、そうなんだ」とすぐに笑って、「俺は全然大丈夫だよ」と言ってくれました。
タダシも少し困ったような表情を浮かべつつ、「おれも大丈夫!」と返してくれました。
内心、ほっとしました。
やっぱりこの2人に言えてよかったな…と思った、そのときは。
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まさかの「カミングアウト返し」
それから2〜3週間後。
また3人で集まった僕は、すっかり気が楽になっていました。
ふと、あまり彼女を作ってこなかったタダシに、コウイチと一緒になってからかいます。
「そういうタダシも、なんか特殊な趣味あるんじゃないの?」
するとタダシ、急に真顔になって一言。
「実はそうなんだ…」
「え?ロリコン?熟女好き?」と茶化す僕ら。
その返事は――
「いや、実は良平と同じなんだよ。」
…はい??
まさかのカミングアウト返し。
まさかの同類。
しかも4年間、一度も気づかずに付き合ってきたという事実。
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コウイチの悲鳴
その場で3人中2人がゲイだと知ったコウイチは、軽くパニック状態。
「俺のまわりってゲイばっかりかよー!」と叫び、顔を真っ赤にして笑い出しました。
そして僕らもつられて大爆笑。
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卒業間近、3人で大笑いしたあの夜。
今でも会うと、必ずこの話が出ます。
しかも毎回、コウイチが「俺はあの時ほんとビビったんだからな!」と同じテンションで言うので、もう立派な鉄板ネタです。
人生、何が起きるかわかりません。
カミングアウトは勇気がいるけれど、ときには思わぬ方向から笑いと友情を運んでくれるものです。この記事はサンプルです。
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