僕のノート

新宿二丁目のウリセンバー体験記──女子とノンケと僕

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「ウリセン」という言葉をご存じでしょうか。
正式には「売り専バー」と言い、若い男性スタッフ(ボーイ)が接客し、指名をすると店外デートに連れ出すこともできる──そんな仕組みのお店です。新宿二丁目には昔からいくつも存在していて、働いているのはノンケ(異性愛者)の若い男性が多いのが特徴。もちろんゲイの子もいますが、僕がよく行っていたお店では、9割以上がノンケでした。

ただし、通っていたのはもう10年以上も前のこと。今ではだいぶ様子も変わっているかもしれません。

女性の友人に誘われて

そもそもなぜ僕がウリセンバーに通っていたのかというと──きっかけは女性の友人でした。
その子が常連で、「女性も入れるから一緒に行こうよ」と誘われたのです。ウリセンは女性客OKという店も多く、夜の二丁目で「ゲイ仲間と飲む」のではなく、「女子とノンケのボーイたちと飲む」という、なんとも不思議な時間を過ごすことになりました。

普通のバーより料金はやや高め。お店側は当然、指名を取らせて指名料を稼ぎ、さらに店外デートに繋げようと必死に売り込んできます。

指名はほぼゼロ。でも例外が数回…

正直に言うと、僕はノンケ男性と肉体関係を持つことにまったく興味がありません。
むしろ想像しただけで「ゾワッ」とするくらい(笑)。だからどんなにボーイから売り込まれても、基本的には、ほぼ連れ出すことはありませんでした。

……いや、「ほぼ」って書いたのは、例外があったからです。
実際に数回は、どうしてもと頼まれて、しかも相手がとんでもなくイケメンでタイプ。話していても楽しくて、結局ご飯に行ったり、一緒にホテルで過ごしたこともありました。といっても、酔っ払って朝まで添い寝程度。体の関係にはならなかったのですが。

バイト感覚で働く彼ら

当時のボーイたちは「割のいいバイト」という感覚で働いている子が多かった印象です。
指名されなければ収入はほぼゼロ。でも一度指名が入れば、ショート・ロング・ステイと拘束時間によって収入は大幅にアップ。普通のアルバイトの何倍にもなる稼ぎになるのです。

しかも、お客さんにお酒や食事をご馳走してもらえる。性的なサービスを伴うこともあるけれど、中には僕のように「一緒に過ごすだけ」という客もいるし、高齢のお客さんであれば、そもそも激しいことを求めないケースも多かったようです。

女性客という存在

そして、忘れてはいけないのが女性のお客さんの存在です。
二丁目のウリセンバーは女性客OKなので、キャバクラ嬢や風俗で働く女性がよく遊びに来ていました。ノンケのボーイからすると、女性から指名されるなんて「ラッキー」と思うかもしれません。

でも実際には、必ずしもそうではないようです。あるボーイさんは「一晩に5回もやらされてヘトヘトでした」と苦笑いしていました。聞いている側からすると「いや、それは全然ラッキーじゃないでしょ!」と突っ込みたくなる話ですが、これもまた二丁目の多様性を象徴するエピソードのひとつかもしれません。

懐かしくて、不思議な思い出

振り返ると、わざわざ高いお金を払って女子とノンケのボーイと飲んでいたなんて、今では自分でも不思議に思います。
でも、あの頃の僕にとっては「ちょっとした非日常を味わえる場」だったんですよね。

ゲイバーともキャバクラとも違う、新宿二丁目のウリセンバー。
独特の文化がそこにはあって、今思えば笑えてしまうような、不思議で懐かしい思い出のひとつです。

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Ryohei Asada
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ブログ編集者
東京在住の中年ゲイブロガー 当サイト 「ニジイロ東京Days」 note.com 「僕らのノート ニジイロ東京Days」 🏳️‍🌈 出会い・恋愛・仲間づくりに悩んできたゲイのリアル 🌱 「ひとりじゃない」+「小さなヒント」発信中 🎬 銭湯とドラマ映画が好き
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